【杭州(中国浙江省)時事】日中両国政府が東シナ海での危機管理メカニズム構築に向けて広範に意見交換する「高級事務レベル海洋協議」第1回全体会議が16日、中国浙江省杭州市のホテルで開催された。石原慎太郎東京都知事が尖閣諸島を都で買い取ると表明したことに対して中国側が反発を示す可能性もある。
日中関係が現在、尖閣問題や世界ウイグル会議代表大会の日本開催をめぐりぎくしゃくする中、主権も絡み譲歩できない「海」をめぐる問題で前向きな議論が展開されるかは不透明だ。
協議には中国側からは国防省や国家海洋局、軍総参謀部など海洋権益に関して「対日強硬派」とされる部門の関係者も参加。中国側は、通常の日中政府間協議で許される冒頭取材も認めなかったほか、会議が行われた部屋周辺への日本人記者の立ち入りを厳しく制限するなど、主権問題に厳しい国内世論向けに、日本側との友好姿勢を排除する立場を前面に出した。東シナ海ガス田共同開発なども議題に上るとみられる。
同協議は、2010年9月に尖閣諸島沖で起きた中国漁船衝突事件で日中関係が緊張したことを踏まえ、海洋での不測の事態に備えて相互信頼を増進し、連絡体制の構築を目指す。
この日午前の全体会議には山野内勘二外務省アジア大洋州局参事官と易先良?中国外務省国境?海洋事務局副局長ら、両国の海洋関係機関幹部が出席。午後はワーキンググループ会議を開く。(2012/05/16-10:28)