退行 以前の発達段階の状態に戻ることで、リビドーによる衝動や欲求の解放・充足を比較的自由に行えるようにしたり、主観的世界の中のイメージを現実の状況に規制されることなく自由に表現したりすることである。 適応的退行とは、現在の状況下では適切に満たすことができない衝動や欲求がある場合、あるいは独力では問題解決ができない場合、自律性・自立性を求める自我の規制を弱めて、適度に他者に依存することでその状態を克服しようする適応行動で、自我の柔軟性である。 創造的退行とは、自我の規制を緩めて、現実で実際には表現できないような自分の主観的世界のイメージを、小説や芸術作品などの創造的表現に託すことで、適応的な行動である。 治療的退行とは、精神分析的治療において、治療構造や治療関係を通して自由で保護された空間を作り出すことによって、クライエントの自我の防衛や抵抗などの規制を緩め、過去の発達段階における無意識の不安や葛藤あるいは対象関係を表現することである。 病的退行とは、病理や不適応行動として現れるもので、過去の発達段階で衝動や欲求の解放・充足が適切に行えなかったことによる不安や葛藤が、その後の発達段階におけるストレスの強い体験によって再燃し、その不安や葛藤を克服するために過去の発達段階に見られたあるいは固執した反応や行動の形態で表現されることである。
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来自: 心意knight > 《已背文件夹(5月15日)》