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【読むクスリ】プレイボーイの結婚

 日知窗 2020-10-05

プレイボーイの結婚

浪子回头只因一句再平常不过的日常话

上前淳一郎著「読むクスリ」より

摘自上前淳一郎著心灵茶肆

翻译:赵伟华

ちょっと名前を出せないのが残念だが、テレビCF製作の鬼才と言われるSさんは、二十歳代のほとんどをパリで過ごした。

很遗憾在此不能告诉大家他的名字,本文的主人公是被称作电视广告制作奇才的S,他2030岁几乎都是在巴黎渡过。注:CFコマーシャルフィルムの略)影像广告。

少年時代から映画の世界にあこがれ、テレビ・ディレクターになりたかった。しかし、夢破れて日本を飛び出し、放浪のあげくパリに流れ着いたのだった。

S少年时期就对电影行业充满憧憬,想成为电视导演。可是,梦想破灭,他离开日本,四处流浪、最后漂泊到了巴黎。

大学でフランス語を専攻していたので、得意の語学を生かして日本から来る観光客のガイドをやった。いい収入になった。

好在他大学的专业是法语,于是就利用语言优势,为日本游客做向导,收入不菲。

パリにいて金があれば、女の子に不自由はしない。まして、もともとすらっとした長身の、いい男である。たちまちSさんはプレイボーイとして、パリにいる日本人の間の評判になった。

在巴黎一旦有了钱,身边就不乏女人。况且他自身还是身材修长的美男子。不久,S就成了巴黎的花花公子、在当地日本人圈中名声鹊起。

二十歳代の後半までは、面白くてたまらなかった。パリジェンヌ、ドイツ娘、イギリスの人妻……。アパートのベッドで枕を交わす女性は、ほとんど夜ごと違った。

直到二十多岁后半,他都感觉生活有滋有味的。巴黎女人、德国姑娘、英国人妻…。在公寓床上同床共枕的女人几乎夜夜不同。

だが、やがて彼は、そんな自分をさげすみ始める。日銭が入るのをいいことにこんな生活を続けていて、いったいどうなっていくのだろう。

可是,不久他开始鄙视那样的自己,仗着每天都有入账而这样奢靡生活,到底会有什么结果呢?

若い日に自分が思い描いていたのは、こんな生活ではなかった。早く日本へ帰って、何かを創造する仕事をやりたい。もうすぐ三十歳だ――そう思うと、居ても立ってもいられなくなる。

难道年轻的时心中描绘的是这种生活?还是快点回日本,做点有创意的工作吧。马上快三十岁了……想到这些,他开始坐立不安起来。

それに、外国の女たちと付き合うことにも飽き飽きしてきていた。つまらない。何かが欠けている、という気がして仕方ない。

而且,他开始厌恶和外国女人交往、感觉无聊,总觉得缺了点什么。

確かにベッドの中では、女たちはそれぞれニュアンスの違った陶酔感を与えてくれる。しかし、一緒に過ごしてよかった、と思うのは、その一瞬だけだ。

在床上,女人们确实会给自己带来不同的陶醉感,可是觉得在一起好也仅仅就那一瞬间。

あとの時間は、向き合って食事しても、話していても、心が通じ合っている、という感覚がない。所詮異邦人どうしなのだ。

随后的时间,无论是面对面吃饭、还是聊天,都毫无心灵相通的感觉。终归还是两个不同国家的人。

周りの羨望とはうらはらにSさんは、つまらない、つまらない、とつぶやきながら、夜ごと相手を取り換えるようになっていた。

和周围的艳羡相反,S不断吐槽无聊至极,尽管如此每晚还是不停地更换床伴。

※※※

そんなある日パリの街で、日本からやってきた娘さんと知り合った。ふだん付き合っている金髪に比べたら、肌は浅黒くて不格好な、日本女性としても決して美人とは言えない娘だった。

一天S在巴黎街头认识了一位日本姑娘。和平日交往的金发女郎相比,女孩肤色略黑且长相一般,即便在日本女人中也决不能称作美女。

それでも彼は、いつもと同じようにほとんど機械的に彼女に優しくし、食事をおごり、義務みたいな気持ちでアパートへ誘った。

尽管如此,他还是和以往一样对她温柔,请她吃饭,像尽义务般邀她到公寓。

翌朝、腕の中にいた相手が起きる気配で眼を覚ました。彼女はベッドから立っていき、窓のカーテンを開けた。

第二天早上,躺在自己臂弯里的人的起床声吵醒了S。他看到女孩从床上起身拉开了窗帘。

ふと、こちらに話しかけるでも、ひとりごちるでもなく、外を眺めた日本娘の口からつぶやきが漏れた。

姑娘望着窗外低声说了句:

「あら、雨ね」

呀,下雨了哦

听起来既不是和他搭话,也不像自言自语。

瞬間Sさんは、心臓をえぐられたような気がした。欠けていたものはこれだ、と雷に打たれたみたいに気づいたのである。

瞬间S感觉心脏被刺,如雷击般发觉原来自己缺的就是这个。

これまでにも、女と一緒に迎えた朝、雨が降っていたことは何度もある。しかし、どの女にも雨はただの雨にすぎなかった。嫌な天気、と舌打ちするか、傘がないことを心配するだけだった。

以前曾多次和女人一起迎接下雨的早晨。可是在每个女人看来,雨就是雨,所以她们或抱怨天气糟糕,或为没带伞而担心。

しかし、この日本娘の「あら、雨ね」には、単なる気象現象の説明を越えた、何かがある。たったそれだけの言葉の中に、性の陶酔の後もしみじみと続いている感情の交流のようなものがある。

可是,这个日本姑娘的一句呀,下雨了哦,超越了对单纯天气现象的说明,有着另一层意境。虽是只言片语,却仿佛有着性陶醉之后持续的走心的感情交流。

そしてその感情は、お互いに同じ民族だからこそ、分かち合えるものなのではないか。男と女の間で一番大切なのは、性ではない。その周辺に漂う情感なのだ。そのことを彼は、初めて異郷で悟らされた気がした。

而且,这种感情不正是因为是同一个民族,才能共同体会的东西吗。男和女之间最重要的不是性,是肉体交流后洋溢在周围的情感。S在异乡头一次领悟到了这种情感。

Sさんはそっとベッドを降り、窓辺に佇む彼女の肩を抱いて、言った。

「僕は日本へ帰る。君と結婚しよう」

S慢慢从床上下来,搂着伫立在床边女孩的肩膀,说:“我要回日本,和你结婚。”

東京へ戻って、鬼才、と言われるようになるまでには、短くない時間が必要だった。しかし彼は再出発をやりおおせた。

回到东京到被称作奇才经历了不短的时间。可是他实现了从头再来

二児の母になったS夫人は、今も彼にとって、一番いとしい人である。

已是两个孩子的S夫人,即使现在对他来说仍是最可爱的人。

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