夢見小僧 むかしむかし、あるところに金持ちの旦那がいました。 正月の二日に、小僧たちを集めて尋ねました。 「どんな初夢を見たか、ひとつ聞かせておくれ」 そこで一人ずつ話しましたが、一番ちびの小僧だけは、断りました。 「あんまりいい夢だから、人には聞かせられねえ」 むかしからいい初夢は、人に聞かせてはいけないと言われています。 「よし、じゃ、その夢を買おう。百文、二百文。・・・えい、一両ならどうだ」 「いやです」 小僧が断るので、旦那はカンカンに怒って、 「えいっ、こんな強情なやつは、海に流してしまえ!」と、怒鳴りつけました。 「これでも食って、どこへと行くがいい!」 小僧は、こな餅といっしょに、小舟に乗せられてしまいました。 小舟は風吹くままに、ユラユラ流れて沖へ出ました。 広い広い海を、どこまでも行きました。 すると、島が見えてきました。 島にあがると、たくさんのサルたちが小僧を見つけてやってきました。 「ウキッ、うまそうな人間だぞ」 サルたちが歯をむき出して、押し寄せてきました。 ビックリした小僧は、こな餅を千切っては投げ、千切っては投げ、サルが拾って食ベるまに、やっとのことで逃げ出しました。 サルの島を後にして、小舟は波のまま、風のまま、海を流れていきました。 ズンズンいくと、また島が見えました。 近寄ると赤鬼、青鬼、おおぜいの鬼たちが、小僧を取り囲みました。 「おう、うまそうな人間だぞ」 「頭から食おうか、足から食おうか」 小僧は、またこな餅を投げましたが、鬼たちは見向きもせず、小僧に掴みかかりました。 「おらを食うのは、ちっと待てやーい!」 小僧は叫びました。 「その変わり、旦那にさえ教えなかった初夢を教えてやる。凄い初夢だぞ」 「よーし」と、鬼たちは答えました。 「そんなら、とっとと話せ」 「話してやるが、鬼どん、お前たちは、おらになにをくれる?」 そこで鬼たちは、りっぱな車を引いてきました。 「千里万里(せんりまんり)の車といって、わしらの宝だ。鉄棒で一つ叩けば千里(四千キロ)、二つ叩けば万里いくぞ。これでどうだ」 小僧がわざと渋い顔をして見せると、今度は二本の針を持ってきました。 「この針で刺すと、元気なやつもすぐに死んでしまう。だが、死にそうなやつを刺すと元気になる。この宝もやろう」 「よし、いいだろう」 小僧は針を受け取ると、車にヒョイと飛び乗って、鉄棒で一打ちしました。 車はピューンと走りだし、後に残った鬼たちは、涙を零して悔しがりました。 車は空をひとっ飛びして、おりた所は広い田んぼです。 小僧はも一つ、車を鉄棒で打ちました。 すると、大きな橋の下に出ました。 そこで車を下りて、近くの茶店に入りました。 茶店で餅を食べていると、隣の屋敷の門から、おおぜいの人が出たり入ったりしています。 「隣じゃ、なにか変わったことでもあるのかね?」 小僧が茶店の人に尋ねると。「へえ、なんでも、一人娘のおじょうさんが病気で、今にも死にそうだということですだ」 小僧は早速、隣の屋敷へ行きました。 「オホン。わたしが、娘さんの病気を治してあげよう」 小僧が娘さんにチクリと針を刺すと、娘さんはたちまち元気になりました。 それを見て、家中大喜びです。「お前さまは娘の命の恩人です。どうか、うちの息子になってくだされ」 屋敷の旦那がたのみました。 「ああ、いいよ」 それから小僧が、毎日ご馳走を食ベて楽しく暮らしていると、川向こうの金持ちの家でも娘が病気になり、ぜひ、治してくれと頼んできました。 小僧はまた、針を刺して娘さんを元気にしてやりました。 その家でも大喜びです。 「娘の命の恩人ですだ。どうか、うちの息子になってくだされ」と、頼みました。 「それでも、おらの体は一つだもの。二軒の息子にゃ、なれねえ」 すると金持ちの旦那は、二軒の家の間の川に、金の橋をかけてくれました。 そこで小僧は、お日さまの光で虹のようにかがやく橋を渡って、1ヶ月の半分をこちら側、後の半分を川向こうの家で過ごすことになりました。 小僧の見た初夢とは、二人の娘の間にかかる虹のような金の橋を、渡る夢だったのです。 小僧:小和尚;小家伙。 初夢:正月初一,初二做的梦。 ちび:矮个子;孩子。 カンカン:大怒,大发脾气。 旦那:施主;老爷。 強情:倔强;顽固。 ユラユラ:晃动,摇曳。 むき出す:露出;揭开。 押し寄せる:涌来;蜂涌而至;推倒一旁。 千切る:切成细丝。 ズンズン:不停滞地,飞快地。 近寄る:挨近;走进;接近。 見向きもせず:连头也不回;不理睬。 とっとと:赶快。 渋い顔:绷着脸。 ヒョイと:突然;无意中。 一打ち:打一下,一击。 屋敷:房地;公馆。 チクリ:针等尖物刺扎;稍微。 做梦的小伙计 从前,某处有一个有钱的老爷。 正月初二,他把小伙计都集合起来问道: “新年之后大家都做了什么梦?告诉我。” 每个人都讲了自己做的梦,只有最小的伙计拒绝告诉他。 小伙计说:“我做的梦太好了,不能告诉别人!” 从前的人认为,新年后的第一个梦如果是好梦,不能告诉人。 “好吧,那么,我买你的梦如何?我给你100文(约3000日元),不行?200文呢?唉,给你1两(约70000日元)的话,怎么样?” “不行!”小伙计还是拒绝说。 老爷大发雷霆,吼道: “哎,你这么顽固,真该给你放逐到海里!” “这个给你吃,你愿意去哪就去哪!” 小伙计被迫带着こなもち粉糕坐上了小船。 小船任由风吹着,晃晃悠悠地飘到了海面。 小船在宽阔的海面到处漂流。 终于,看到了一个岛屿。 小伙计上了岛,很多猴子看到他朝他跑了过来。 “吱吱,好像是一个很好吃的人啊!” 猴子们露出牙齿,蜂拥了过来。 小伙计吃了一惊,不断的撕碎粉糕扔给猴子,趁猴子拣粉糕块儿吃的时候,好不容易逃了出来。 离开了猴子岛屿,小船随风顺浪,在海上漂流。 船飞快的飘行之间,又看到了小岛。 一挨近岛屿,有很多红鬼、蓝鬼还有其他很多鬼把小伙计团团围住了。 “哇,好像是很好吃的人啊!” “是从头开始吃呢?还是从脚开始吃呢?” 小伙计再次把粉糕扔出去,谁知鬼连理都不理,一起上前扭住了小伙计。 “等一等再吃我啊!”小伙计喊道。 “作为交换,我把连主人都没有告诉的新年的第一个梦告诉你们。这个梦可真非同寻常!” “好啊。”群鬼回答道。 “那样的话,你快说!” “说给你们听可以,(作为交换)你们给我什么呢?” 于是,群鬼拉来一辆漂亮的车。 “这车叫‘千里万里车’,是我们的宝贝。用铁棒敲一下,能跑一千里(约4000公里),敲两下,能跑一万里。用它和你交换如何?” 小伙计故意绷着脸表示不同意,鬼又拿出了两根针。 “健康的人被这个针一刺立刻就会死掉,但用这个针一扎濒临死亡的人,他就会恢复健康,我们把这个宝贝也给你吧。” “好吧,我同意了。” 小伙计接过针,突然跳上了车,用铁棒一击。 车立刻迅速地跑走了,留在那里的群鬼,只好懊悔地掉眼泪。 车在空中只飞了一下,到达了广袤的田野。 小伙计又用铁棒打了一下车。 这次,车到了一座大桥下。 小伙计下了车,走进了附近的一家茶馆。 在茶馆吃年糕的时候,可以看到隔壁住宅的门有很多人进进出出。 小伙计问茶馆的人: “隔壁发生了什么事情么?” 茶馆的人回答说:“是啊,据说他家的独生女生病了,好像要不行了。” 小伙计赶快去了隔壁的家里。 “哦,我来治疗您女儿的病吧。” 小伙计用针扎了一下姑娘,姑娘的病立刻好了。 见此,姑娘家里的人都非常高兴。主人求他说: “您是我女儿的恩人,请一定做我家的儿子(女婿)。” 小伙计同意了,这样他每天吃着美味佳肴,过着快乐的日子。有一天,河对面的财主家的女儿也病了,再三恳求他去给治病。 小伙计又用针一扎,使姑娘恢复了健康。 这家人也非常高兴。也求他说: “您是我女儿的救命恩人,请一定做我的儿子(女婿)。” “可是,我的身体只有一个,不能做两家人的儿子啊。” 于是,财主□在两家之间的河上架了一座金桥。 这样,小伙计每半个月到河这边,另半个月到河那边。过桥的时候,金桥被太阳光一照耀,像彩虹一样熠熠发光。 小伙计新年梦到的第一个梦就是在两个姑娘之间架起的金桥上往返。 |
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