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平成24年度 財政法第46条に基づく国民への財政報告 : 財務省

 LM0318 2012-08-24

平成24年度 財政法第46条に基づく国民への財政報告

第1部 平成24年度予算

1.予算成立の経緯

24年度予算は、23年12月24日に政府案が閣議に提出され、概算の閣議決定が行われた。

その後、24年1月24日に第180回国会(常会)に提出され、3月8日に衆議院において可決されたが、4月5日に参議院において否決されたため、両院協議会が開かれた。しかしながら、両院の意見が一致しなかったため、同日日本国憲法第60条第2項前段の規定により成立した。

以下、成立した予算について概説することとする。

2.予算編成の前提となった経済情勢及び財政事情

(1) 経済情勢

東日本大震災により我が国の経済活動は深刻な打撃を受け、マイナス成長が2四半期続くなど、23年度は厳しい状況からのスタートとなった。その後、官民の総力を結集した復旧?復興努力を通じてサプライチェーンの急速な立て直しが図られ、景気は持ち直しに転じたが、夏以降は急速な円高の進行や欧州政府債務危機の顕在化による世界経済の減速が、景気の持ち直しを緩やかなものにしていた。こうした状況に対し、政府は累次の補正予算を編成し、復興への支援を図りつつ景気の下方リスクに先手を打って対処した。復興需要を中心とする政策効果が景気を下支えすることから、景気は緩やかな持ち直しが続くものと見込まれた。物価の動向を見ると、緩やかなデフレ状況が続いていた。消費者物価は3年連続の下落となった。23年度の国内総生産の実質成長率は、成長の発射台がマイナスであったことから、その後の景気の持ち直しにもかかわらずマイナス0.1%程度、国民の景気実感に近い名目成長率はマイナス1.9%程度と見込まれた。

24年度の日本経済は、本格的な復興施策の集中的な推進によって着実な需要の発現と雇用の創出が見込まれ、国内需要が成長を主導する。世界経済については、欧州政府債務危機を主因とする世界の金融資本市場の動揺が、各国政府等の協調した政策努力により安定化することを前提とすると、主要国経済は減速から持ち直しに転じていくと期待される。これは、我が国の輸出や生産にとって望ましい環境をもたらしていくと考えられる。こうしたことから、我が国の景気は緩やかに回復していくことが見込まれる。物価については、消費者物価上昇率はGDPギャップの縮小等により0.1%程度になると見込まれる。GDPデフレーターは緩やかに下落する。完全失業率は、雇用者数の緩やかな増加から低下する。こうした結果、24年度の国内総生産の実質成長率は2.2%程度、各目成長率は2.0%程度と、実質、名目ともプラスに転じる。先行きのリスクとしては、欧州政府債務危機の深刻化等を背景とした海外経済の更なる下振れ、円高の進行やそれに伴う国内空洞化の加速、電力供給の制約等が挙げられる。

(2) 財政事情

我が国財政は、23年度補正(第4号)後予算では公債依存度が51.9%にも及び、国?地方合わせた長期債務残高が23年度末においてGDP比192%程度になると見込まれた。我が国財政は主要先進国中最悪の水準であるなど、極めて深刻な状況にあり、こうした厳しい財政事情の下、政府としては、「財政運営戦略」(22年6月22日閣議決定。以下「財政運営戦略」という。)で示された、基礎的財政収支について、遅くとも27(2015)年度までにその赤字の対GDP比を22(2010)年度の水準から半減し、遅くとも32(2020)年度までに黒字化するとの目標の達成に向けて取り組むこととしている。

3.予算編成の基本的考え方

24年度予算編成に当たっては、「平成24年度予算編成の基本方針」(23年12月16日閣議決定)に基づき、次のような基本的考え方に立って編成することとした。(以下、「平成24年度予算編成の基本方針」からの抜粋を基本としている。)

24年度予算においては、東日本大震災からの復興、経済分野のフロンティアの開拓、分厚い中間層の復活、農林漁業の再生、エネルギー?環境政策の再設計の5つの重点分野を中心に、日本再生に全力で取り組む。あわせて、地域主権改革を確実に推進するとともに、既存予算の不断の見直しを行う。

その際、我が国財政への市場の信認を確保していくため、「財政運営戦略」における財政健全化目標の達成に向け、行政刷新会議の「提言型政策仕分け」等も活用しつつ既存歳出の見直しを進め、「中期財政フレーム(平成24年度~平成26年度)」(23年8月12日閣議決定)に基づいて24年度予算編成を進める。

4.一般会計予算の規模等

  • (1) 一般会計予算の規模

    24年度一般会計予算の規模は、903,339億円であって、23年度当初予算額に対して20,777億円(2.2%)の減少となっている。なお、基礎的財政収支対象経費の規模は、683,897億円であって、23年度当初予算額に対して24,728億円(3.5%)の減少となっている。

  • (2) 一般会計予算と国内総生産

    • 1 一般会計予算の規模を国内総生産と対比すると、次のようになる。

      (表1) 一般会計予算規模及び国内総生産の推移
      一般会計(A)
      (億円)
      うち基礎的財政収支対象経費(B)
      (億円)
      国内総生産(C)
      (名目?兆円程度)
      (A)/(C)
      (%程度)
      (B)/(C)
      (%程度)
      23年度 924,116 708,625 470.1 19.7 15.1
      24年度 903,339 683,897 479.6 18.8 14.3
      24年度の対前年度伸率 △ 2.2% △ 3.5% 2.0%程度
      (注)

      1.23年度の(A)欄及び(B)欄は、当初予算の計数である。

      2.23年度及び24年度の(C)欄は、24年度政府経済見通しによる。(23年度は実績見込み、24年度は見通し)

    • 2 なお、24年度の政府支出の額は、120.3兆円程度であり、23年度実績見込みに対して、0.4%程度の増加となる見込みである。

  • (3) 一般会計歳入予算

    • 1  租税及印紙収入は、現行法による場合、23年度当初予算額に対して14,000億円増の423,270億円になると見込まれるが、個人所得課税、資産課税等の税制改正を行うこととしている結果、23年度当初予算額に対して14,190億円(3.5%)増の423,460億円になると見込まれる。

      また、その他収入は、23年度当初予算額に対して34,427億円(47.9%)減の37,439億円になると見込まれる。

    • 2 24年度における公債金は23年度当初予算額を540億円下回る442,440億円である。公債金のうち59,090億円については、「財政法」(昭22法34)第4条第1項ただし書の規定により発行する公債によることとし、383,350億円については、「平成24年度における公債の発行の特例に関する法律」の規定により発行する公債によることとしている。この結果、24年度予算の公債依存度は49.0%(23年度当初予算47.9%、補正(第4号)後予算51.9%)となっている。

      (表2) 一般会計歳入予算の内訳

      (単位:億円)

      1.租税及印紙収入

      (1) 現行法を24年度に適用する場合の租税及印紙収入

      423,270

      (2) 税制改正による増△減収見込額

      190

      個人所得課税

      170

      資産課税

      10

      法人課税

      80

      消費課税

      △ 70

      沖縄関連税制

      △ 10

      (内国税計

      180)

      関税

      10

      (3) 24年度予算額(1)+(2)

      423,460

      2.その他収入

      37,439

      3.公債金

      442,440
      合計 903,339

      (表3) 公債依存度の推移〈当初予算ベース〉

      (単位:億円、%)

      年度 一般会計予算規模
      (A)
      公債発行額
      (B)
      公債依存度
      (B/A)
      20 830,613 253,480 30.5
      21 885,480 332,940 37.6
      22 922,992 443,030 48.0
      23 924,116 442,980 47.9
      24 903,339 442,440 49.0

5.重要施策

  • (1) 東日本大震災からの復興

    「東日本大震災からの復興の基本方針」(23年7月29日東日本大震災復興対策本部決定)等に基づき、23年度補正予算に引き続き、24年度予算においても震災復興に全力を挙げることとしている。また、復興事業に関する経理を明確にするため、東日本大震災復興特別会計を24年4月1日より設置している。

  • (2) マニフェストの工程表に掲げられた主要事項

    24年度予算において、マニフェストの工程表に掲げられた主要事項のうち、主な施策は次のとおりである。

    • 1 児童手当(24年2?3月分は子ども手当)

      24年度予算では、給付費(国家公務員分を含む)として、13,283億円を計上している。

    • 2 高校の実質無償化

      公立高校生のいる世帯から授業料を徴収しないこととするとともに、私立高校生等のいる世帯に対しては、公立高校の授業料相当額(年額約12万円)の助成(更に低所得世帯に対しては、所得に応じて約6万円又は約12万円の上乗せ助成)を行うこととし、これらに要する経費として、3,960億円を計上している。

    • 3 戸別所得補償制度

      我が国の食料供給力の維持?強化を図るため、22年度から水田において主食用米を「生産数量目標」に即して生産する販売農家等に対して、標準的な生産費と標準的な販売価格との差額を交付するとともに、麦、大豆、米粉?飼料用米等の戦略作物を生産する販売農家等に対して主食用米並みの所得を確保しうる水準の交付金を交付している。さらに23年度からは畑作物(麦、大豆、てん菜、でん粉原料用ばれいしょ、そば、なたね)に対象を拡大するとともに、農地の面的集積や畑の再生利用等の取組を支援するための加算措置を設けることとした。中山間地域等の条件不利地における生産条件不利を補正するための交付金等と合わせ、6,183億円を計上している。

  • (3) 予算の組替え?無駄の削減

     

    • 1 「日本再生重点化措置」を活用した予算の組替え

      「平成24年度予算の概算要求組替え基準について」(23年9月20日閣議決定)において、「我が国経済社会を再生し、国民一人ひとりが希望をもって前に進める社会を実現するため、(中略)将来を見据え、新たな雇用の創出を含め、我が国経済社会の再生に真に資する分野に予算を重点配分する取組として、『日本再生重点化措置』を実施する。」とされた。これを受けて、「予算編成に関する政府?与党会議」による優先?重点事業の選定結果も踏まえ、「日本再生重点化措置」として1兆578億円を計上し、予算配分の重点化を図っている。

    • 2 行政刷新会議における提言型政策仕分けの提言等の反映

      24年度予算編成においても、引き続き、行政刷新の継続?強化を通じた歳出全般にわたる見直しを行うこととし、行政刷新会議においては、事業の無駄や非効率の背景にある政策的?制度的な問題にまで掘り下げて提言を行う提言型政策仕分けが実施された。24年度予算においては、この提言型政策仕分けの提言の反映により歳出の見直しを行うなどにより、歳出全般にわたる見直しを行った。

    • 3 決算、決算検査報告等の反映

      決算及び決算検査報告等の予算への反映については、これまでも、積極的に取り組んできているところであり、24 年度予算においても会計検査院の指摘や決算に関する国会の議決等を踏まえ、個別の事務?事業ごとに必要性や効率性を洗い直し、その結果を的確に反映している。

    • 4 予算執行調査の反映、政策評価の活用

      予算執行調査は、事業?制度の必要性、有効性及び効率性の検証を行っており、23年度においては、東日本大震災の影響を考慮し、65件の調査を実施した。このうち予算への反映が直ちに可能な54件の24年度予算への反映額は109億円となっている。

      また、各府省の政策評価に示された達成すべき目標、目標を達成するための手段、どの程度目標が達成されたかに関する事後評価等を精査の上、各事業の必要性、有効性及び効率性を検証し、政策評価の結果を予算編成過程の中で適切に活用している。

  • (4) 税制改正

    24年度税制改正においては、成長戦略に資する税制措置、税制の公平性確保と課税の適正化、地方税の充実と住民自治の確立に向けた地方税制度改革、23 年度税制改正の積残し事項の取扱いといった、特に喫緊の対応を要する税制改正事項を実施する。

    具体的には、車体課税の見直し、研究開発税制の上乗せ特例の延長、住宅取得等資金に係る贈与税の非課税措置の拡充?延長、給与所得控除の上限の設定など、所要の措置を講ずることとしている。

  • (5) 公務員人件費

    公務員人件費については、国?地方を通じて、給与?定員両面から見直しを図ることにより、引き続き抑制に努めることとしている。給与については、我が国の厳しい財政状況及び東日本大震災に対処する必要性にかんがみ、平成23年6月3日に国家公務員の給与の臨時特例に関する法律案(以下、「給与臨時特例法案」という。)を提出したところである。

    なお、上記の給与臨時特例法案の提出以降、給与削減について、民主党、自由民主党、公明党の3党協議が行われ、3党の共同提出による国家公務員の給与改定及び臨時特例に関する法律案が、去る2月29日に成立したところであり、国家公務員の人件費予算において、平年度2,900億円程度の削減が見込まれる。

    24年度予算では、国については、東日本大震災の復旧?復興にかかる増員には適切に配慮しつつ、全省庁を挙げて厳格な定員管理に取り組み、行政機関の定員を1,300人(0.4%)純減するほか、自衛官等についても人員の削減に努めることにより、国家公務員全体で1,388人(0.2%)を純減することとし、国家公務員の人件費の予算額は、一般会計及び特別会計の純計で、23年度当初予算額に対して661億円(1.3%)減の5兆944億円となっている。

    地方については、定員純減等を行うことにより、24年度においても引き続き給与関係経費の抑制を図ることとしている。

  • (6) 特別会計

    特別会計の見直しについては、特別会計の数を23年度までに17とする順次の統廃合等を実施してきた。24年度においては、「特別会計に関する法律の一部を改正する法律」(平24法15)に基づき、東日本大震災復興特別会計を新たに設置している。

    なお、特別会計の歳出総額から重複計上分等並びに国債償還、社会保障給付及び地方財政対策等を控除した額は、23年度当初予算額に対して35,629億円(40.5%)増の123,524億円となっている。

    ただし、東日本大震災からの復興に関する事業に係る経費及び被用者年金制度一元化法案が廃案になったことによる影響額を除いた場合は84,495億円となり、23年度当初予算額に対して3,400億円の減少となっている。

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