太極拳基礎講座の第五回目です、これまでに太極拳の概要歴史、身型?身法、四正手、四隅手を解説してきました。
今月から太極拳でよく使われる「手型?手法」を解説していきます。
「太極拳で使われる手型」 拳 (チュエン) 緩く握る 掌 (ヂャン) ピンと伸ばさない 勾手 (コウショウ) こわばらない
■ 拳(チュエン)
太極拳の拳は強く握らず、緩く拳の中に隙間が有るように握ります、長拳や南拳のように強く握りしめることはしない。
■ 掌(ヂャン)
太極拳の掌は掌心を緩く窪ませ、指を軽く伸ばす、頭にそっと手を添えた形が良いと言われることがあります。
■ 勾手(コウショウ)
太極拳の勾は五指の指先で軽くつまむように合わせます、ちなみに孫式太極拳では基本的に勾手は使いません。
拳 掌 勾
「太極拳で使われる手法」 1.冲拳(チョンチェン) 2.搬拳(バンチェン) 3.貫拳(グアンチェン)
4.推掌(トゥイヂャン) 5.楼掌(ローヂャン) 6.欄掌(ランヂャン)
7.分掌(フェンヂャン) 8.穿掌(チュアンヂャン) 9.抱掌(パオヂャン)
10.挑掌(ティアオヂャン)
■ 冲拳(チョンチェン)
拳を腰の横から前に向けて立拳でうちだす、肩より高くならない、胸より低くならない、力は拳面に達する。
■ 搬拳(バンチェン)
肘を曲げ、拳心を下に向け、その後肘を軸にして前腕を回して前に打ち出す、力点は拳背に達する。
■ 貫拳(グアンチェン)
両拳を下方から側面を通り、腕を内旋させながら前方上に向けて打ち出す、拳の高さは耳の高さ、拳眼は斜め下に向く、両腕は孤形になる。
■ 推掌(トゥイヂャン)
掌を前方に押し出す、指先は上に向け、指は目の高さを超えない、掌根に力点がある。
■ 楼掌(ローヂャン)
掌心を下に向け膝または腰の前方を孤形を描き払う、力点は前腕部または掌外沿に達する。
■ 欄掌(ランヂャン)
掌を外側から内に向け、立掌で払う、指先は斜め上に向け、力点は掌根に達する。
■ 分掌(フェンヂャン)
両肘を曲げて胸の前で交叉させ、両腕を前後または左右に向けて分け広げる。伸ばした腕は肘を少し 曲げて孤形になる。力点は分け広げるときには前腕部外側から手首に移動し最後には掌根に達する。
■ 穿掌(チュアンヂャン)
下勢独立の動作中、掌の指先を伸ばして、仆歩で伸ばした足の大腿部の内側を沿うように付きだしていく。 または、腕の肘を曲げ掌心を下に向け、別の手の掌心を上に向け曲げた腕の掌背の上を突き出す。
■ 抱掌(パオヂャン)
胸の前で両掌を上下で向かい合わせ、両腕で丸くボールを抱えるようにする。
■ 挑掌(ティアオヂャン)
手首を曲げて立掌で下から上に向けて跳ね上げる。 挑掌の時には脇を緩め、肘を下げ腕を孤形にして指先を目の高さにする。 力点は前腕上部または手首に達する。
太極拳基礎講座の第八回目です、今月は太極拳でよく使われる「歩型」を解説していきます。
「太極拳で使われる歩型」 1.弓歩(ゴンブ) 2.仆歩(プブ) 3.虚歩(シゥブ) 4.丁歩(ティンブ) 5.独立歩(ドウリィブ)
■ 弓歩(ゴンブ)
前足裏を全面着地させ、膝を.曲げる、膝は爪先より前に出てはいけない。 もう一方の足は膝を自然に伸ばす、足先は斜め前方約45°に向ける、両方の足は左右に10~20cm離す。
■ 仆歩(プブ)
一方の脚の膝を曲げてしゃがむ、膝と爪先は外に向ける。もう一方の脚は自然に伸ばし、地面近くに低く下げる 爪先は内側に向けて曲げる、足の裏は全面着地する。膝を曲げた足の踵と伸ばした足の爪先を直線上で揃える。
■ 虚歩(シゥブ)
一方の脚の膝を少し曲げ足の裏を全面着地させる、爪先は斜め前に向ける。 もう一方の脚の膝を少し曲げ爪先(画像左)あるいは踵(画像右)を地面に付ける
■ 丁歩(ティンブ)
一方の脚の膝を少し曲げ、重心をその上に置く。もう一方の脚の爪先部分を支えた脚の内側につける。
■ 独立歩(ドウリィブ)
一方の脚を伸ばし自然に立つ、別の足の膝を引き上げ、爪先を自然に引き下げる、上げた脚の大腿部は水平より高く上げる。
太極拳基礎講座の第九回目です、今月は太極拳でよく使われる「歩法」を解説していきます。
「太極拳で使われる歩法」 1.上歩(シャンブ) 2.退歩(トゥイブ) 3.扣歩(コウブ) 4.跟歩(ゲンブ) 5.碾(展)歩(ニィアンブ)
6.擺歩(バイブ) 7.側行歩(ツァシンブ)
8.蹬(登)脚(ドンジャオ)
■ 上歩(シャンブ)
片方の足の膝を少し曲げ重心を乗せる、もう一方の脚は支えている脚の側を通り前方に踏み出す。 足を降ろすときは踵から静かに着地させる。 上歩の時の上体は前や横に傾けたり、上下に起伏しないようにおこなう。
■ 退歩(トゥイブ)
片方の足の膝を少し曲げ重心を乗せる、もう一方の脚は支えている脚の側を通り後に一歩下げる 足を降ろすときは爪先から静かに着地させる。
■ 扣歩(コウブ)
片足で支え、もう一方の脚を引き上げ小腿を内側に向けて回す。 足を着地するときには踵を先に付けてその後、爪先を内側に向け足の裏をすべて着地させる。
■ 跟歩(ゲンブ)
重心を前足に移し後にある足を前足の踵に向けて半歩寄せる、 その後後ろ足に重心を打つし足裏全面を着地させる。
■ 碾(石展)歩(ニィアンブ)
一方の足を踵を軸に爪先を外旋(または内旋)させる、 もう一方の足は爪先を軸に踵を内旋(または外旋)させる。
■ 擺歩(バイブ)
片足で支え、もう一方の脚を外旋させながら前に向けて踏みだし、 踵かを着地させその後爪先を外旋させて足の裏を全面着地する。
■ 側行歩(ツァシンブ)
片足で支え、もう一方の足を引き上げ横に踏み出し爪先から着地させる。 つづいて踏み出した足に重心を移し、最初の支えた脚を踏みだした足の側に寄せる 両足は八の字にはならず平衡に移動させる、また移動時は上体を上下させずにおこなう。
■ 蹬(登)脚(ドンジャオ)
片足で支え、もう一方の足の膝を引き上げ爪先上に引き起こす。 つづけて足の踵で蹴りだす、蹴る足は自然に伸ばす、力点は踵に達する。 足の高さは腰より低くてはならない。
 太極拳基礎講座の第十二回目です、今月は太極拳の「勁力?眼法」などを解説していきます。 今回の講座を持ちましてしばらく休講といたします。
「太極拳の勁力」 太極拳の勁力とは柔軟で弾力に富んだ力を発揮することです、そのためには身体の各部分を協調させることが必要で、腕の筋肉の力だけを用いて強ばった力を出したり、反射運動(無意識に発する動作?屈筋反射、膝蓋反射などがある)的に力を出すことは勁力を発したとは言えません。 また勁力を発すると言っても常に最大の力を出すことではなく、その太極拳の動作と目的に合った適切な質量の勁力を発することも大事です。 また、勁力にもいろいろ種類があります。
明勁 強くはっきりした力 暗勁 柔らかく、相手の動きに対応し変化する力 長勁 力の道筋が長い物 寸勁 力の道筋が短く働く物 聴勁 自ら力を出すのではなく、相手に触れて相手の力の質や方向を感じ取る事 化勁 相手が発する力を受け流し無力にすること
以上が太極拳で主に使われる物です、武術にはこの他にも勁と名の付く物は沢山あります。
■ 掩手肱捶(イァンショォウゴンチュイ)
陳式太極拳は明勁の発勁動作が多く含まれた太極拳です。 その中で代表的な発勁動作は「掩手肱捶」です。
■ 楼膝拗歩(ロウシーアオブ)
簡化太極拳の発勁動作は柔らかく、相手の動きに柔軟に対応できる「暗勁」が用いられます。 画像の楼膝拗歩も「暗勁」に属します。
「太極拳の眼法」 太極拳の眼法とは、目の動きと動作、意識を協調させる方法と言えます。 基本的に太極拳の目は前方を平らに見ること(平視)、主な動き(実)の手の方向を見ることなどです。
手眼相随 意識、目、身体の順に動き、身法、歩法、手法を協調指せることです。 一転眼則周身全動 動作に先んじて目が動き、その後に全身が動き動作が完成する。 神態自然 体の状態が表情に表れる、また逆に表情を緩め穏やかにすることで身体が緩む事もある。
「太極拳の呼吸」 呼吸は意識?動作とともに太極拳の重要な要素とされています、意識が動作を導き、呼吸が動作、勁力を導きます。 ただし太極拳をおこなうときに呼吸を意識しすぎず、自然に無理のない呼吸を心がけると良いでしょう。
動作のはじめで吸い、動作の終わりで吐き出す。 動作の転換するところで吸う。 前進するときに吐き、後に下がるときには吸う。 腕が上に上がるときには吸い、下げるときには吐く。
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